ご挨拶

この度は、弊社のホームページをご高覧頂き、誠にありがとうございます。 そろばん製造に携わり七十年を迎え、過ぎ去る平成を惜しみながらも、令和と共に新たな門出を迎える事ができたのは、ひとえに皆様方のお力添えのおかげと感謝しております。

現在では後継者育成に努める傍ら、数字の計算だけではなく、様々な能力を培う事ができる算盤の素晴らしさを世界に広め、そろばん人口の増加と共に村や町、市や国の活性化に貢献できれば此れ幸いであります。

平成が令和に変わる今、明治・昭和・平成を振り返りながら、これからの時代について少し語りたいと思います。

田中 守

小学六年生で機械の仕組みや算盤作りのノウハウを知り、
生きる術を学びました。

私の祖父は、大きな五つ玉の算盤そろばんを作っていました。
Cash registerキャッシュレジスタなど無い時代、お店での会計は算盤で行われ、熟練者は暗算でした。売る側も、買う側も、計算ができないと損をする時代があったのです。

皆さんは買い物をする時に計算をしていますか?レジに頼りきって頭脳のトレーニングを怠っていませんか?機械が表示する数字だけが” 答え”ではありません。己の力で計算し、例え間違っていても、次に繋がる一歩となるのです。

1939年に第二次世界大戦が始まり、祖父は算盤稼業を止めて国の為に勤めました。1945年に戦争が終わり、その翌年、父は祖父の意志を受け継ぎ、そろばん製造を始めたのです。父に連れられ神戸のヤミ市へ行き、モーターやギアなどを買いました。戦後の食糧難に祖父は家畜を育て、父はそろばん製造に使っていたモーターの動力を使い、井戸の水を汲みました。当時、私は小学六年生で機械の仕組みと、生きるすべを学んだのです。危機感は人を強く育てます。

年々、販売数量が減っていく算盤業界に危機感を抱かずには居られません。
算盤は、集中力・記憶力・判断力など、様々な能力を培うことができます。

算盤全盛期時代には、月に数万丁の注文があり、寝る間も惜しんで作りました。しかし、シャープと共同で製造した「電卓そろばん」でさえ、今となっては幻の一品となったのです。

年々、販売数量が減っていく算盤業界に危機感を抱かずには居られません。それは製造に限らず、教育現場において、そろばんの出来ない子供達、教育者、保護者の方々に対しても同じであります。インドの高度な数学教育にも匹敵するアイテムを、過去の産物として飾ってはいけないのです。

そろばんは集中力、記憶力、判断力、忍耐力、思考力、創造力と様々な能力を培うことができます。その一方で、テレビやスマホには依存症という副作用があり、使い方次第では良薬にも猛毒にもなるのです。現代はモノや情報で溢れ返っています。間違った使い方や選択をしない為の教育が必要なのです。

技術の進化と共に退化していく人類。
IoTやAIが普及し、これまでにない便利な世の中になっていく。
だからこそ様々な能力を培い、個人の能力を高める必要があるのです。

冒頭でも話しましたが、人は便利なモノ頼る生き物です。自動ドアが普及し、ドアを開けることを忘れるかもしれません。自動運転が普及し、運転を忘れるかもしれません。印刷技術やタブレットが普及し、文字や絵を描く能力が低下している現代人。洗濯機が無い頃は手で洗い、炊飯器が無い頃は山へ行きまきを集める事から始めました。電子レンジが無い頃は冷凍食品すらありません。テレビが無い頃は近所付き合いが盛んで、村一つが家族のようでした。トラクターが無い頃は、牛を引っ張り田んぼを耕しました。

井戸が水道に代わり、手紙が電話に代わり、便利なモノが悪いと言っている訳ではありません。上手に付き合っていく事が大切なのです。これからIoTやAIが普及し、これまでにない便利な世の中になっていくでしょう。だからこそ様々な能力を培い、個人の能力を高める必要があるのです。

全てのモノがインターネットに繋がり、ビッグデータとしてAIが管理し、
最適化され、自動化になる時代が目前に迫っています。

人間の脳は潜在能力の数十パーセントしか機能していないと私は信じています。人間の脳には約300億個のシナプスという情報伝達回路が、脳の神経細胞(ニューロン)の隙間にあり、ニューロンが発信する電気信号を二進法で(付いたり離れたりして)情報の伝達、処理を行っています。これらは新しい事を学んだり、考えながら体を動かすことによって鍛えられます。

2019年現在、コンピュータチップの中に入るトランジスタの数はシナプスと同等か、それ以上と言われています。このトランジスタとはシナプスと同じ二進法で動作する電子回路の事であります。人間はIQ200で天才と呼ばれ、コンピュータはこの先30年でIQ10,000を超えると言われています。IoT、つまり全てのモノがインターネットに繋がり、ビッグデータとしてAIが管理し、最適化され、自動化になる時代が目前に迫っています。

これらが何を意味し、人類がどこに向かっているのかを真に理解した時に、危機感を持てる人間を育てていく必要があると私は考えています。この先に生まれる超格差に備えて、準備を怠ってはいけません。

災害は忘れた頃にやってくるのです。

最後に、そろばんが人間の潜在能力を引き出すアイテムの一つとして、再び脚光を浴び、必要とされる日がくる事を切に願い、私の挨拶に代えさせて頂きます。

田中 守
明日逝くも今日学習怠らず

「有限会社文殊そろばん」
「データバンク文殊」
創設者 田中 守

プロフィール

田中 守 有限会社 播州文殊そろばん 代表

著書「無借金・無税金国家創生論 文殊そろばんのつぶやき」

66年にわたって算盤製造に携わってきた町工場の社長が、 算盤の有用性を主張しながら、 現代日本の政治、経済、教育を語り、良い指導者を「選ぼう」「創ろう」「育てよう」と呼びかける。

無借金・無税金 国家創生論 文殊そろばんのつぶやき

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